電子カルテによる病診連携
2010年4月第3回群馬県立心臓血管センター登録医大会報告書
2010年2月4日群馬県立心臓血管センター開催の第3回登録医大会に登録医として
参加させて戴きありがとうございました。
貴センター症例検討会のミニレクチュアーや症例発表、時には遠方からわざわざお越し戴
いた高名な先生の講演などお聞きし翌日からの診療に役立たせて戴いております。
日常診療では心臓血管疾患専門病院・地域医療支援病院としての貴センターの先生
方並びに地域医療連携室の方々には大変お世話になり衷心より感謝申し上げます。
先生方には紹介した患者さんに素早く、適切に対応して戴きありがとうございます。
紹介状は病診連携のかなめでありその内容は患者の診断、治療、予後に影響します。
電子カルテで紹介状を記載して出来るだけ詳細な多くの情報を提供するように努力し電子
システム構築の歴史をご紹介致します。
電子カルテ導入前の紙カルテに私が書いた字はくせ字で独語、英語が混ざりその上略語や
符丁が混在し読みづらいものでした。
カルテは単なるメモではなく保険者や患者に診療内容を説明し伝える大事な公文書です。
こんな大事な文書がそれを書いた本人以外は判読困難では診療内容の公開・開示には
堪えられません。
ワープロでカルテが書ければくせ字は解消します。
ただしこれの実現には電子カルテ導入まで待たなければなりませんでした。
開業当初、レセプトはカルテと同様手書きでレセプト提出前の月初めはレセプト作成で
忙しく診療に支障を来たしました。
1980年(昭55)カナ文字印刷のレセコンを購入しレセプト作成時間を大幅煮短縮出
来ました。
機械語ソフトのこのレセコンの入力はスピーディでした。
1985年(昭60)導入の2代目の漢字印刷のレセコンはBasicのソフトで入力が遅く
イライラしました。
1990年(平2)導入の3代目の多端末レセコンは入力も速く診察しながら診療内容を
参照できた優れものでした。
この3代目レセコンのサポートが終了の頃電子カルテの存在を知りました。
1999年(平11)厚生省通達により電子カルテが診療録として認められました。(資料*1)
電子カルテはデータの標準化・共通化などの利点が多数あります。
また念願のくせ字が解消出来ます。電子カルテをネットで検索しました。
ネット上にアップされていた各種各様の電子カルテ中で大阪の内科医が開発した電子カルテ、
「電子カルテ・レセコンシステムDynamics(*2)」に興味が引かれその将来性を確信して
2000年(平12)に4代目の電子カルテ・レセコンとして導入しました。
続いて2001年(平13)に電子カルテと連動する広島の内科医が開発した電子ファイリングソフト
RS_Base(*3)を導入しました。
血液、心電図、画像等の診療データを登録出来ます。
各種データの記録、保存、検索、抽出及び図表やグラフ作成等の応用が容易に出来ます。
現在、これらシステムで紹介状を作成し必要な情報を添付しています。
又診療データをCD等に入力し個人カルテとして転医の時等に本人に渡せます。
電子カルテから携帯
電話に処方などの診療データを入力でき他医の診察を受ける時等参照できます。
(Merody Candy *9 )
2005年(平17)6月音声入力ソフトを導入しました(*8)。
私が話した症状、所見等の言葉が文字としてモニターに拡大表示され患者さんもそれを
見て診療内容が確認出来ます。
手書きやキーボード入力よりは患者さんの顔を見ながらカルテへ入力出来ます。
「先生は私の顔を見ていない」と言われないようにして患者さんとの信頼関係の醸成に
努めています。
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2006年(平18)4月10日、レセプトオンライン化が認められました。(*4)
2007年(平19)からレセプトオンライン請求を開始しました。当医院名が官報に掲載され
ました(*5)。
2008年(平20)6月24日(火)前橋市医師会内科医会講演会で
「レセプトオンライン化〜自験例をもとに〜」という演題で講演させて戴きました(*6)。
電子カルテで作成した紹介状はより正確で詳細な情報を提供出来、病診連携に有用と
考え当院での紹介状作成システムの経緯を紹介しました。
私は将来「電子カルテによる病診連携」が発展し紹介した患者さんの経過をネットで閲覧
できるのではと予想しています。またそのようになるべきと考えています。
当院の電子カルテ運用にはWindows及びメールの基本的知識があれば充分です。
SkillよりWillです。興味のある方はご遠慮なく見学に来て下さい。
当院の診察室、受付システムをHPにアップしてありますのでご覧下さい。(*7)
2010年2月27日 瀬田勝之
資料 以下すべてネット検索できます
*1 1999年に厚生省は診療録の電子媒体による保存を認める通達を発表し、その際、
電子カルテのガイドラインとして知られる以下の3つの条件を満たすよう求めた。
真正性 書換、消去・混同、改ざんを防止する。作成者の責任の所在を明確にすること。
見読性 必要に応じ肉眼で見読可能な状態にできること。直ちに書面に表示できること。
保存性 法令に定める保存期間内、復元可能な状態で保存すること。
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*2 電子カルテ・レセコンシステムDynamics
著者:吉原正彦先生 http://www7a.biglobe.ne.jp/~dynamics/
*3 RS_Base:医療用の画像ファイリング・診療支援ソフト
著者 山下郡司先生 http://rsbase.net/
サポート 株式会社Medical-In 渡辺敬治
*4 厚生労働省令第111号公布
「療養の給付、老人医療費及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令の一
部を改正する省令の施行について」
診療報酬の請求にオンラインよる方法が追加され、順次、オンラインによる方法に限定
する厚労省省令が公布施行されました。2010年(平成22)年4月1日からは原則レセプト
の請求はオンラインに限定されることになりました。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/recept01a.pdf
*5 厚生労働省告示第二百十号 10010
http://www.hospital.or.jp/pdf/14_20070605_01.pdf
*6 レセプトオンライン化〜自経例をもとに〜
http://med.wind.ne.jp/tigerseta/index/dyna\report\onlin_slide under cnstruction
*7 http://med.wind.ne.jp/setaclin/office/image119.gif
瀬田勝之ホームページ http://med.wind.ne.jp/tigerseta/ under cnstruction
*8 株式会社アセンディア医療向け音声認識ソフトウェアAmiVoiceEX
http://www.ascendia.jp/product/product_04/amivoice/dousaprice.html リンク変更
*9 Candy Merody http://www.superdyn.jp/candymerody/index.php
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